2019年のハーツクライ産駒たち
有馬記念で12着に敗れた後、2週間ほどしてから右飛節に腫れと痛みが出はじめたということで、庄野調教師は「大事には至っていませんが、この春の最大目標であるドバイシーマクラシックには万全の状態で出走することは困難と判断し、オーナーサイドとの協議の結果、現役を引退、種牡馬入りが決まりました」と説明した。種付け料は200万円(受胎確認後)に設定された。
シュヴァルグラン、リスグラシュー、そしてスワーヴリチャードの引退が発表されました。ハーツクライ産駒で古馬になってからG1を勝った馬は日本に4頭いますがジャスタウェイ以外の3頭がこの馬たちでした。2019年の有馬記念は結果的にハーツクライ産駒の古豪が揃ってターフを去るレースとなってしまったわけですね。
ハーツクライというのは今のところ私が出資している唯一の種牡馬でして、今年のクラシック世代である17年産駒のポレンティアは8月の新馬戦からの長い休養を経て1月のフェアリーSで3着に入りました。ツイッターでは何度も書いてきましたがこの17年産駒で新馬勝ちをしたハーツクライ産駒のその後がすごいことになっていまして、改めてここで紹介をしますと
というわけで、重賞4勝、2戦目は勝つか重賞でも3着以内、3戦目以降でも5着を外していないという好成績です。ポレンティアだけ2戦目までの間隔がかなり空いてしまったので他の馬たちが活躍している中でどうなるかドキドキだったわけですが5番人気3着と何とか格好はつけてくれました。
この世代のハーツクライ産駒は早い時期に新馬勝ちをして、その少数精鋭が賞金を稼ぎまくるという例年とは違った傾向を見せています。この6頭以外に芝で新馬勝ちをしたのが年明けのアルテフィーチェなので9月のクラヴァシュドール以降、つまり10月11月12月に新馬勝ちが0頭だったというのも産駒10世代目にして初の出来事でした。サリオス、クラヴァシュドール、ウーマンズハートのようにスピード色の強い馬が台頭しているのもこれまでとの違いが見られるように思います。
かと言えば、この世代も含めて産駒の全体としてはダートでの活躍も目立ってきており17年産駒ではフェルカド、ミッキープリンスがダートで新馬勝ち、シンプルゲーム、アラジンバローズはダート替わりで圧勝しました。ダート馬が増えていくのは高齢化した種牡馬の一般的な傾向ですが、これまでの産駒とは真逆とも言える早い時期からの活躍にレコード走破や極端に速い上がりを使う馬も登場するというのがこの世代の不思議なところで、もしかして種牡馬としても晩年に覚醒があるのかと17年世代の行く末とこれからの産駒にも目が離せません。
ちなみに17年産駒というのは2019年にデビューした世代です。2019年で引退したレジェンドたちと入れ替わりで歴史を刻んでいくだろう新星たちの世代と言ったら大袈裟になるでしょうか。出資馬であるポレンティアが育成されたのはノーザンファーム早来の野崎厩舎ですが、ここはリスグラシューも育った場所でした。ノーザン系クラブのハーツクライ産駒牝馬で重賞で3着以内に入ったのも実はリスグラシュー以来の記録だったりします。育成厩舎だけでなく年度代表馬となれるようなハーツクライ牝馬の後継馬にポレンティアがなってくれたら……平成が終わり令和が始まった2019年、後から振り返ればハーツクライ元年だったと2年後のポレンティアがそう思わせてくれたら最高です。